豹変カレシのあまあまな暴走が止まりませんっ!
確かに、私も悪かったかもしれない。嘘ついたし。
だからってさ。女性を家に連れ込むのは行き過ぎなんじゃない?
この時間から家にくるってさ。
間違いなく、アレな感じじゃん?


冷静に考えてみて。
ぶわっと、涙が溢れてきた。


「水城ちゃん……」
木嶋さんが、私の前でオロオロとする。


すごく、綺麗な女性だった。
玲と並んでても、なんの遜色もない、理想の美男美女。
スタイルも玲好みで、いつでも水着になれますって感じ。
私よりもずっと、玲に相応しい。

悲しくて、悔しくて、何より自分が情けなくて。

甘い物バクバク食べて、みっともない贅肉ほったらかしにしといたから、玲に呆れられちゃったんだ。自業自得だ。


「ごめんなさい。なんでもないんです」

取り敢えず、訳が分からないであろう木嶋さんへ弁解。

「いや……なんでもなくはないよね」

心配そうな眼差しにいたたまれなくなる。

いやー、そうなんですよ。なんでもなくはないんです。
でも、悪いのは私だし、木嶋さんに心配してもらうようなことじゃないし。

「本当に大丈夫なんで、気にしないでください。おやすみなさい」

手の甲で涙を拭って、みっともない顔は伏せたまま、木嶋さんに背を向ける。
マンションの入り口へ入ろうとして、一歩踏み出した、そのとき。

後ろから腕を掴まれて、驚いた私は立ち止まる。
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