豹変カレシのあまあまな暴走が止まりませんっ!
「一人で大丈夫? もう少し一緒にいようか?」

本気で心配してくれている顔。

ああ。どうして私、こんなに優しくしてくれる人、振っちゃったんだろう。
だって、玲に見捨てられちゃったら、私のこと親身に考えてくれる人なんて、木嶋さんの他にいないよ。


「……木嶋さん」

ついつい。浅はかに。
頭によぎったことを、深く考えもせず、声に出してしまった。

「やっぱり、付き合いましょうか」


面食らった顔をする木嶋さん。

「俺はかまわないけれど。水城ちゃんは、本当にそれでいいんだね?」

頷く私。


けれど。

木嶋さんが私の身体を引き寄せて、唇を近づけてきたとき。
反射的に私は、彼の身体を突き飛ばしていた。

「あ、ご、ごめんなさいっ!」

自分の頭で考えるよりも、身体が素直に教えてくれた。
キスできないってことは、きっとダメってことなんだろう。


「自暴自棄になっちゃだめだよ」

木嶋さんが、ちょっと辛そうな顔で言う。

なんてこと言わせるんだ。私の馬鹿。
木嶋さんを、玲の代わりにしようとするなんて。
木嶋さんにも失礼だし、だいたいそんなこと、できる訳ないのに。

「……ごめんなさい」

私って本当に、救いようのないダメ女かもしれない。
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