豹変カレシのあまあまな暴走が止まりませんっ!
「何故抵抗しなかった」
ベッドの横で、玲が頭を抱えて猛省している。
でも、ぜーんぶ終わっちゃったから、もうあとの祭りだ。
「嫌がれよ! 襲われたんだぞ!? 大人しく身体を明け渡してるんじゃない! 馬鹿かお前は!」
襲ったのはそっちなのに、どうして私が馬鹿とか言われなきゃいけないんだろう。
だいたい、私は嬉しかったんだから、嫌がる必要性なんてなかったんだってば。
「……お前がもっと嫌がってくれれば、無理に襲ったりなんか……」
なんだその正当化。
私のせいにするつもり?
「もっと俺に……罪悪感背負わせろよ」
え? 何? 罪悪感背負いたいの?
よく分かんなくなってきた。
何がしたいの、玲は?
「……ごめん。比奈。すまない……比奈……」
終いには、ベッドに顔を埋めて、私に謝りだしたんだ。
なんだか玲が可哀想になってきた。
ほら、男の人って、性欲が爆発すると、もう女なら相手なんか誰でもよくなっちゃうって言うし?
きっと玲も、そういうアレだったんだよね。
身体のバイオリズム的に、こう、したくて仕方ないタイミングだったんだよね?
だから、私なんかが相手でも、ついついしちゃったんでしょ?
あんな綺麗な彼女がいるのに、私なんかに手を出しちゃったこと、後悔してるんだよね?
「ねぇ、玲」
あまりにも玲が不憫になって。
「今の、なかったことにしてもいいよ?」
そんな提案をしてみたんだ。
そしたら、玲が私の方を見て、なんだか泣きそうな顔で唇を噛みしめて。
「……すまない」
ただ一言、そう言った。
あーあ。
私と玲の既成事実、なかったことになっちゃった。