豹変カレシのあまあまな暴走が止まりませんっ!



「何故抵抗しなかった」

ベッドの横で、玲が頭を抱えて猛省している。

でも、ぜーんぶ終わっちゃったから、もうあとの祭りだ。


「嫌がれよ! 襲われたんだぞ!? 大人しく身体を明け渡してるんじゃない! 馬鹿かお前は!」

襲ったのはそっちなのに、どうして私が馬鹿とか言われなきゃいけないんだろう。
だいたい、私は嬉しかったんだから、嫌がる必要性なんてなかったんだってば。

「……お前がもっと嫌がってくれれば、無理に襲ったりなんか……」

なんだその正当化。
私のせいにするつもり?

「もっと俺に……罪悪感背負わせろよ」

え? 何? 罪悪感背負いたいの?
よく分かんなくなってきた。
何がしたいの、玲は?

「……ごめん。比奈。すまない……比奈……」

終いには、ベッドに顔を埋めて、私に謝りだしたんだ。


なんだか玲が可哀想になってきた。


ほら、男の人って、性欲が爆発すると、もう女なら相手なんか誰でもよくなっちゃうって言うし?
きっと玲も、そういうアレだったんだよね。
身体のバイオリズム的に、こう、したくて仕方ないタイミングだったんだよね?

だから、私なんかが相手でも、ついついしちゃったんでしょ?

あんな綺麗な彼女がいるのに、私なんかに手を出しちゃったこと、後悔してるんだよね?



「ねぇ、玲」

あまりにも玲が不憫になって。

「今の、なかったことにしてもいいよ?」

そんな提案をしてみたんだ。

そしたら、玲が私の方を見て、なんだか泣きそうな顔で唇を噛みしめて。

「……すまない」

ただ一言、そう言った。


あーあ。
私と玲の既成事実、なかったことになっちゃった。
< 42 / 59 >

この作品をシェア

pagetop