先輩と隣の三木くん

教室の扉を開けると、結構人が集まっていた。

何人かは話をしていたが、静かな教室だった。私は静かな状況があまり好きではない。そう思いながら、自分の席に向かった。

「いやだな~この静かな状況」

私が座ると同時に横に座っていた男子が呟いた。

自分が思っていたことをそのまま言われ、びっくりして横を向くと、彼もこちらを向き、にやっと笑った。

「ねぇ、今そう思ったでしょ?」

私は開いた口が閉じなかった。
もしかして、この人はエスパーなのかもしれない。そう思った。

「怖いです。」私は、驚きを通り越して怖いと感じだ。

「怖がんないでよ。俺が思ったこと言っただけ。そう思ったんなら似てるね、俺たち。」

ナンパの一種なのか?いかにもチャラそうな感じだし・・・。

「あの、エスパーさんとは一緒にされたくないです。」

「え?エスパー?僕が?なにそれ、面白いねあんた。」彼は笑いながら私に言った。

「ねぇ、俺、三木和真って言うんだ、よろしく。」

「あぁ、よろしく。私は、木下茜。」

めんどくさいなと思いつつ、新しい自分に変わるため、友達作りから始めなければと思い、まずはこの人から、と言い聞かせた。

「あかねちゃんか、かわいい名前だね。」

そんなことはどうでもいい。しつこいな、こいつ。そして、チャラい!

「ちょっと和真、またナンパしてんの?」

三木くんの後ろにいた、ヤンキーちっくな女の子が眉間にしわを寄せながら三木くんの頭を叩いていた。

「ナンパじゃねぇーよ、面白い子だなと思ってさ」彼は笑いながら言った。その笑い方を見ていると、今日の朝に出会ったあの人のことが頭をよぎった。ひどいことしたな、怒ってないかな?でも、すごく優しい人だったな。

「和真になんかされそうになったら言いな、私がしめてやるから。」

す、すごく男らしい。惚れそうだ。

「えっと、私あかねです!よろしく!」

そのヤンキーちっくな子の男気にうれしくなって張り切って言いすぎたかな?と言った後に後悔。

「声でか!あかね、ね。あたしは春!よろしくね」大爆笑しながら春は言った。

周りが一斉にこちらを向く。視線が痛い・・・。

やってしまったと後悔もあったが、この二人がケラケラと笑っているのを見て、私もつられて笑った。

それにしても、今日は朝からみんなに大爆笑さっれっぱなしだなぁ。

「それにしても、やっぱ知らない人多いせいで教室静かすぎじゃない?これじゃ葬式と変わんないよ」

春が笑いながら言った。私も春には賛成だ。こんなに静かじゃ気が疲れる。

「最初のうちはこんなもんだろ。まぁ俺がすぐにでも笑いあふれるようなクラスにしてやるよ。」三木くんが自信満々で言った。

「はいはい。あかねもこんなやつ、無視していいよ。」

ほんとに、三木くんって変な人。でも、この人がいると、クラスが明るくなるような気がする。

変な人だけど嫌いじゃない。これからが、楽しみだな。
 
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