先輩と隣の三木くん
朝が来て、今日はお昼までだ。クラス内での決め事などを中心にしていくようだ。
「おはよ」
後ろを振り向くと、そこには先輩がいた。
朝から、一人だけオーラが違うようにキラキラしている。
「お、おはようございます!」
まさか、声をかけてもらえるとは思ってなかったから、びっくりした。
「今日は、桜見ないんだね」
「桜?」
「始業式の時、桜の木見つめてたから」
昨日のあれ、見られてたんだ。
そんな話をしながら二人で学校へ向かっていると、周りの視線が気になった。
見てみると女の子たちが、先輩を見て、きゃーと叫んでいたいたり、先輩の話をしているようだった。
「先輩、すごい人気なんですね(笑)」
「そんなことないよ、ちょっと迷惑なだけ」
やっぱり、イケメンは言うことが違う。
「迷惑なんですか?」
「んー、嬉しいのは嬉しいよもちろん。でも、俺が通っただけできゃーとか叫ばれたら、悪いことしたのかなってなっちゃうからね(笑)」
先輩もいろいろと大変なんだな。確かに、自分が通るだけで道開けられたりすると、避けられてるって思って寂しい気持ちになるもんね。
「大変なんですね(笑)私と真逆過ぎて・・・。」
「そうなんだ~、可愛いのにね、モテてると思ってた。」
恋愛経験ゼロの私に、可愛いとかモテてるとか嬉しいことを言ってくれた。先輩はほんとに優しいな。
「先輩ってほんとに優しいですね(笑)」
私はそういうと、お辞儀をし、靴箱へ向かった。
「ねぇ」
靴箱を開けると同時に先輩が言った。
「俺、三木悠馬。名前だけ教えてらっていい?」
そう言われ、私は自分の名前を言った。靴を履き替えその場から立ち去った。
ふと振り返ると、先輩が女の子たちに囲まれていた。きっと、先輩が私の名前を聞いたせいだろう。
周りにいた女の子たちが次々と名前を先輩に伝えていた。それでも先輩は笑顔でそれに応えていた。
でも、私には、その顔が困った顔にしか見えなかった。
そう、考えていたら、先輩がこちらをみた。私は笑顔を返し、教室に向かった。