そして僕らは




ドキドキものの帰り道。
隣を歩く君にまで聞こえてしまうんじゃないかって位に僕の鼓動は忙しなくその存在を主張している。




普段あまり女の子と話すことのない僕は、こういう時にどうしたらいいのかわからない。




こんなことなら少しでも脩太を見習っておけばよかったな、なんて思ってしまう。




「ねぇ、山里くん
これから委員会のこともあるし、番号交換しない?」



こちらを伺う上目遣いの君の瞳に僕の鼓動はさっきよりも数倍の速度で、これ以上ないってくらいに激しさを増した。




…このままだと僕は心臓が壊れてしまうんじゃないだろうか、と本気で心配になった。



上目遣いもヤバいけれど、番号交換なんて夢見てるみたいだ。
いや、これは本当に夢かも?




「…くん、聞いてる?」




呼び掛けにハッと我に返る。




「ご、ごめん
うん、ちゃんと聞いてたよ
番号交換しよう」




…バツが悪い。
それを隠すようにしてブレザーの右ポケットから携帯を取り出して、紺野さんに差し出した。




お互いに赤外線で番号とアドレスを交換したところで分岐点になり、そのまま挨拶を交わして別れた。




家に向かって歩を進める紺野さんの後ろ姿を見送ってからやっと自分の家に向かい足を踏み出した。



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