そして僕らは





「暁?」





電車特有の心地よい揺れを感じながら、まだ覚めきっていない頭を軽く左右に振り、呼ばれた名前に反応して隣を見た。






「なに?」






「なにじゃないでしょ、もうすぐ着くよ?
何回呼んでも起きないんだもん、置いていっちゃおうかと思ったよ」






そう言って桜色の唇をツンと尖らせて怒って見せる様子が可愛くて、思わず小さく笑みを溢した。






そんな僕を目敏く捉えたようで、更にプリプリしだしてしまった。





「もう次からは起こしてあげないからね」





「ごめん、もう笑わないから
さ、降りよう?」






タイミング良く駅に着いたところで、さりげなく手を取って歩きだした。






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