年下彼氏とSweet Life


聴き終わると、目を開けた父親は、母と顔を見合せて、

「上手くなったな、泉。曲の解釈も、正確にとらえられている。曲が、耳ではなく心に伝わってくるよ。」

「ほんと。あなたは、もともと、楽譜通りに音符を拾って弾けていたけど、感情が見えない演奏だったわ。でも、今聴いたら、別人のようよ。これも、聖くんのお陰かな。」

とクスッとわらいながら、母が言う。

「お姉ちゃん、素敵な演奏だったわ、私たちだけで聴くのがもったいないくらいよ。」



自分では、どう変わったのか、わからないけど、とても嬉しかった。

これで、自信をもって、音大を受験できる。

父が、

「音大に入ったら、俺が日本にいるときは、レッスンをみるよ。」

と言ってくれた。


その後、聖にメールで、そのことを伝えると、とても喜んで、

『僕の愛情が、泉のピアノを育てたんだね。』

と返ってきた。

まあ、その通りかもしれない。
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