年下彼氏とSweet Life


夏休みになった。

両親が、オーストリアの楽団と共演するので、私に後学(こうがく)のために一緒に行かないか、と言ってきた。

聖と一週間会えないと言うことが、両親に付いていくことに、躊躇いを生み出していることに自分で驚いた。

結局、自分でどうしたらいいか、決心できず、聖に相談した。

聖は、

「ぜひ、行くべきだよ。世界を少しずつ意識しておくのも、大切だよ。」

「でも、聖の勉強もあるし……」

「大丈夫だよ。たった一週間だろ。」

「じゃあ、行くことにする。」

渋々行くことにした私を見て、聖は、なぜか、嬉しそうだ。

「どうして嬉しそうなのよ!」

と少し拗ねて聞いた。

「だって、僕と離れることが嫌そうだから。
僕と旅行とを天秤にかけて、僕の方が重いんだろ。僕としては、泉のその気持ちが、嬉しくないわけないよ。」

この聖の言葉は、破壊力があった。

もし別れがきたら、きっと、私は壊れるだろう。
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