年下彼氏とSweet Life


俺は、やはり、泉の足を引っ張るのはいやだ。

もし、ピアニストになれるのなら、そして、それを泉が望んでいるのなら、俺は応援したい。

俺は、泉に留学するように言った。

泉は、驚いていたが、だてに俺たちは6年間を共に過ごしたわけではない。

強い絆を信じたい。

この離れている半年余り、お互いの成長を期待したい。




10月になり、泉は、オーストリアに旅立った。

成田まで見送った。

泣きそうな泉を優しく抱き締めて、

「お互いに頑張ろうな。俺は、ずっと待ってるから。メールは、毎日するよ。」

「うん、うん。」

と、頷くだけの泉。

「春休みになったら、俺もオーストリアに遊びに行くからな。」

また、

「うん、うん。」

と頷く泉。


俺の宝物だ。誰にも渡さない!


この半年は、俺たちにとって、大きな分岐点だった。まだ俺たちは、それを知らない。
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