年下彼氏とSweet Life


ピアノは、普通には弾けるようになった。

ただ、超技巧の必要な曲は、まだ無理だ。

いや、もうその曲は、弾けないだろう。

でも、悔しいから、諦めない。

だって、私に残されたのは、もはやピアノしかないのだ。



10月からは、大学にも通い出した。

約一年いなかったから、始めは、戸惑いが大きかった。

しかし、ピアノは、個人個人なので、回りに合わせることも少ない。



12月になると、寒くなり、ウィーンを思い出す。

南川さんは、あのままウィーンに留まり、シュナーベル先生に師事している。

羨ましいと思うこともあるが、彼は彼、私は私だ。


加藤君から、久しぶりのメールが来た。

『今度の日曜日、試合があるけど、応援に来てほしいな♪やっと試合に出られる。場所は、K大グラウンド、10時キックオフだよ。』

一人で行くのは、ちょっとなあ、と思っていると、珍しく妹の馨が、付き合うと言う。


きっと、私を心配しているのだろう。


私は、馨の申し出を喜んで受けた。
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