夜の甘やかな野望~White Night~
3.
*
インターホンが鳴ったのに、倫子はモニターをのぞいた。
この純和風の平屋の中で、最新の機器の一つだ。
“だって、これじゃないと倫子さん、狙われるでしょう?”
時々、王子の言うことは理解できないが、自分のためらしいということに、倫子は照れた。
そんな扱いを、これまでの人生にされてこなかったから。
モニターに映っているのは、一度だけ会ったことのある宗忠の同僚だ。
「はい」
「はよ~」
なんか軽い挨拶だなあ。
その挨拶の向こうに、うなるようなエンジン音が聞こえてきた。
窓に視線を移すと、チェーンで雪を蹴散らかして、黒い塊がもう突進してくる。