雨宿りの法則
3 なんとなく、


出会った時、敬佑くんは19歳だった。
まだお酒だって飲めない未成年。まだ学生。バイトの経験はあっても、社会人として働いたことがない。

私とは7歳の差があった。

だけどやけに落ち着いているからか、話していると年の差はそこまで感じなかったけれど、ふとした時に見せる表情にまだ少し少年ぽさが残っていたりすると、あぁ、やっぱりまだ子供なんだなと思うことがあった。


コンビニ前で車を見てもらった数日後、私は彼に連絡をして2人でディーラーに行き、無事にエンジンルームのたるんでいたベルトを交換してもらった。
おかげで妙な音はしなくなったし、やけに車に詳しい人を連れていったからか、余計なものを売りつけられたりすることは無かった。

彼にお礼としてご飯をごちそうし、きっとそれきり会うこともないだろうと思っていた。


でもそれは、私と彼にはズレがあった。
その後も彼から連絡が来たのだ。

「ちょっと会えませんか」という具合に。


まぁいいか、と承諾してお茶をしたりご飯を食べたりする日もあれば、仕事だったり気分が落ち込んでいる時は「今日は会えない」と断ることもあった。
私から誘うことは一度も無かった。

激務という言葉が相応しいくらいに忙しい毎日を過ごす私にとって、彼と会う時間はどこか非現実的で、そしてどこかホッとするひと時でもあった。

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