キャンディー
待ち合わせの場所へ着くと、息子さんは まだ来ていないようだった。

おばあさんは小さな体で何度も私に頭を下げて お礼を言った。


「ありがとうございました。お姉ちゃんの、お陰で なんとか ここまで来ることができました…本当に ありがとうございましたぁ」


「いいんですよ。当たり前の事を しただけですから、それじゃ …」


と、帰ろうとした時…


「お姉ちゃん!」


いきなり呼び止められて振り返ると


「これ、お礼に、持ってって」


それはビンに入った『キャンディー』だった。


「えっ?あっ…いえ…結構ですよ。お気持ちだけで…」


そう言いながら後ずさりしてると


「この あめ玉 すんごく 美味しいから お姉ちゃんに あげるよ、お願いだから、持ってって」


そこまで言われると 断る理由も無いので 心良く、受け取ることにした。
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