奪いとれっ!!

”コンコン”


突然のノックの音に、獅倉くんは『くっ』苦痛の表情をしながら私から離れると、またベッドに仰向けに倒れこんでもう一度苦しそうに声を上げた。

「大丈夫っ!?」


まだ体が万全じゃないのに、慌てて動いたからかも。





「どうした?」


遼さんは険しい表情で近づいて来る。


「まだ調子悪いのにこのまま帰して平気かな?」


「本人が帰りたいんじゃ仕方ないだろ」


.....遼さん?!


やっぱり今日の遼さんは変だ。


どうしてそんなに冷たいの?


「起きれるか?」


優しさのかけらも感じられない口調で訊く。


「....はい」


私は獅倉くんに駆け寄ると、起きるのを手伝った。


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