奪いとれっ!!
背後で明らかに面倒臭そうな遼さんのため息が聞こえる。


どうして?


遼さんの気持ちが分からないよ。

だって電話した時、あんなに快く引き受けてくれたじゃない。

その後だって、テキパキと色々やってくれてたのに、突然どうして?


もっと獅倉くんに優しくしてよ。

心がズキズキ痛む。



「ほら瑠理香どけ。お前じゃ無理だ」


強引に私を獅倉くんから引き離すと、遼さんが彼の肩を支えた。


「歩けるか」


「はい」


「玄関に車を待たせてるから、そこまでの辛抱だ」


二人の後を追って私も部屋を出た。


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