奪いとれっ!!
「あのさ、前から聞きたかったんだけど、どうして俺に敬語なの?」


「えっと、獅倉くんとはお友達でもないし、知り合い....くらいの関係だから敬語の方がいいかなって」


本音は慣れなれしくすることに抵抗があったから。

敬語で話して壁を作れば好きにならないから...って自分にブレーキをかけていた。

それに獅倉くんだって距離を置きたがってたんじゃないの?



『知り合いね....』獅倉くんが呟いた気がした。



「俺が悪いんだけどさ.....瑠理香に迷惑が掛かると思って」


....?


「俺みたいな人間がお前に近づいたら悪いかなって。お前と俺とじゃ環境が違いすぎるし」


「どうして.....そう思うの?」


「お前お嬢様だろ。俺みたいに社会の底辺の人間とは、所詮釣り合わないと思うわけ」


そんなの関係ないのに....。

それに社会の底辺って....心が痛む。


「自分のこと悪く言わないで....」


「でもほんとの事だから」


獅倉くんの瞳はどこか遠くを見ている。

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