奪いとれっ!!
「ねえ、ゆず子。たまには買い物付き合ってくれない?」


送迎組のゆず子とは入学以来、一度も一緒にショッピングをしたことがない。

いつも学校と家の往復で、よく嫌にならないなぁ....なんて感心してしまうんだけど。



「えーとぉ、今日はバレエのレッスンがあるんだけどぉ、でも、ちょっとなら平気かなぁ。でも運転手に聞いてみないとぉ....」


「そっか、じゃいいや。今日行かないと売り切れたらやだし」


筋金入りのお嬢さまは買い物も自由にならないんだよね....。

てか、ゆず子は大抵の買い物はお手伝いさんがしてくれるらしい。


昨日のこともあって一人で買い物もためらわれて、取りあえず誘ってみたけど、やっぱりダメか。



「まさか瑠理ちゃんたら例のアイドル雑誌買うのぉ?」


ちょっと意地悪い表情で私の顔を覗き込む。


「う、うん。いいじゃん別に」


「私アイドルは中学で卒業したしぃ」


「高校生がアイドル好きじゃいけないって誰が決めたのよ」


「なんだかお子様ぽくってぇ」


はすに構えてゆず子が言った。
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