奪いとれっ!!

時間を忘れるくらい抱き合って、

そしてゆっくりと体が離れる。



「どうして会ってくれなかった?」


「......会いたかった。でも....」



「でも....?」


「ごめんね、門限が8時から7時になって」


見え透いた嘘。

本当のことなんて言えない。

言ったら堅斗を困らせるだけだもん。



「.....俺を嫌っていないなら、それでいいんだ」


「堅斗を嫌いになるなんて、絶対にないよっ」


絶対に.....。


「お前、俺に隠し事してないよな?」

鋭い視線が私の心を貫く。



「.....ないよ」


「ほんとか?」


言えないよ.....。

言ったところで、かえって辛くなるだけだもん。


どうにもならないもん。


私は堅斗の首に飛びついた。


そして、初めて自分から堅斗にキスした。

< 262 / 320 >

この作品をシェア

pagetop