奪いとれっ!!
時間を忘れるくらい抱き合って、
そしてゆっくりと体が離れる。
「どうして会ってくれなかった?」
「......会いたかった。でも....」
「でも....?」
「ごめんね、門限が8時から7時になって」
見え透いた嘘。
本当のことなんて言えない。
言ったら堅斗を困らせるだけだもん。
「.....俺を嫌っていないなら、それでいいんだ」
「堅斗を嫌いになるなんて、絶対にないよっ」
絶対に.....。
「お前、俺に隠し事してないよな?」
鋭い視線が私の心を貫く。
「.....ないよ」
「ほんとか?」
言えないよ.....。
言ったところで、かえって辛くなるだけだもん。
どうにもならないもん。
私は堅斗の首に飛びついた。
そして、初めて自分から堅斗にキスした。