奪いとれっ!!
指をからめて座席に座っている。

窓ガラスには私たちの姿、そしてその先には街の明かりが見える。


その明かりがだんだん少なくなってくる。

堅斗.....黙ったまま。


「ん?」


見つめる私に問いかけた。


『ううん、なんでもないよ』首を振る。


「もうすぐ、終点だね」


「ああ」




あっという間に......終点の駅。

思っていた以上に何もなかった。


駅舎の裏には山。


駅前にはコンビニが一つ。


とんでもなく田舎だった。




「東京もこんな田舎あるんだね」


「ああ、都下ってやつだ」


「どこで時間つぶそうか?」


うーん、考え込む堅斗だったけど、


「これじゃあさすがに....もう少し大きな町まで引き返すか」


「やだっ」


堅斗の腕にしがみつく。
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