奪いとれっ!!
────暗闇に浮かび上がったのは教会だった。


中からかすかに光が漏れている。


恐る恐る近づき、古い木製の扉を押してみた。



「わぁ、素敵」


そこはまるで下界とかけ離れた神聖な空間。


薄暗い教会の内部は、

祭壇の両脇には背の高さほどある燭台。


二本のローソクがチラチラと静かに揺れている。


そのかすかな光がステンドグラスに反射していた。


「なんて綺麗なの....」

思わす漏らす。


吸い込まれるように、私たちは祭壇へ向かう。

足元の赤い絨毯をゆっくりと進む。

正面の祭壇には細かい彫刻が施された金色の十字架。


静かに揺れるローソクに照らし出される堅斗の顔は....とっても素敵で、”キュン”ってなった。

< 272 / 320 >

この作品をシェア

pagetop