奪いとれっ!!
こんな事になる前にどうして学校は手を打たなかったのかなぁ。

ゆず子が言ってたみたく、被害届が出てなかったから?

でも、結果的にかえって大ごとになっちゃって。


私は運が良かった.....けど。


あ、また救世主さんのことが頭に浮かんだ。

あの人、どうしてるかな?

もう一度会いたい。そんな感情が沸き上がって。

どうしても会いたくなって。



「ねえ、ゆず子は暁月高校に知り合いがいるって言ってたよね?」


窓の外を二人で眺めながら、


「えーとぉ、いとこがいるけどぉ?」


「ちょっと調べてほしい事があるんだけど......」


ゆず子はお嬢様気質と言うか、のんびりした性格だから、あまり詮索をする子じゃない。


「.....ふーん、金髪にピアスなんて居るかなぁ。あの学校にぃ?」


首をかしげるものの、調べる理由は聞いてこない。


聞かれたところで、適当に誤魔化すけど....。



「じゃあ、いとこにLINEしてみるねぇ」


「サンキュ」


窓の外ではテレビ局のアナウンサーらしき人が中継を始めている。


あーあ、


当分臨時休校になるかも。

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