奪いとれっ!!
「────ここ、俺の部屋」


堅斗に連れられて来たのは、シンプルな家具が揃ったセンスのいい部屋だった。


「俺.....ここに帰ってこようと思ってる」


「そうなんだ」



「母さんから色々話聞いたんだ。実は今まで嫌でちゃんと聞かなかったんだけどさ.....」


伏し目がちに堅斗は続ける。


「母さんと父さんは昔、恋人同士だったんだってさ。だけど、父さんの父さん、ま、おじいちゃんがさ、家柄とかなんだかんだで結婚を許してくれなくてさ。渋々って言ったら今の奥さんに悪いけど.....
母さんはシングルマザーでもいいから俺を産みたかったって言ってた。
俺さ、ずっとその話聞きたくなくて避けてたんだ。母さんも無理にしなかったし」



やっぱり、ここはあったかい。

お互いを尊重して、大事にしてる。

堅斗も堅斗のお母さんもとっても優しい人たち。


遼さんから聞いた話とは全然違ってた。

きっと遼さんのお母さんが歪めて伝えていたんだろう。



「疲れただろ.....。今日はゆっくり休んで」


「うん」


堅斗は優しくおでこにキスすると、


「俺のベッド使って。俺は向こうの部屋で寝るから」


もう一度優しく抱きしめると、


「おやすみ」


優しい笑顔を残して、出て行った。


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