奪いとれっ!!
◆◇◆◇

堅斗は岩清水建設の応接室で遼と面会していた。


ガラスのテーブルを挟み、二人は黒い革張りのソファーに向かい合うように座っていた。


はれ上がった顔の遼は堅斗と視線を合わせようとしない。

ばつが悪そうに視線を泳がせながら、くわえたタバコにカチカチとなかなか火のつかないライターをあてていた。


「遼さん....」


口火を切ったのは堅斗だった。


「以前助けていただいて、ありがとうございます」


軽く頭を下げる。


「ふん」っとそっぽを向く遼。


「お前を助けなきゃ良かったよ」


遼の憎まれ口に「でしょうね」
堅斗は大人の対応で答えた。


「瑠理香のこと好きなら正々堂々と交際を申し込んでつきあえばよかったんじゃないですか?」


堅斗はあくまでも紳士的に振舞っている。

遼はドカッとソファーの背もたれに寄りかかった。

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