奪いとれっ!!
見つけたら何て声かけようかな?

『私のこと憶えてますか?』が一番自然かな。

それとも『この前助けてもらった....』いきなり言ったほうが分かりやすいかな?



あ、もし友達と一緒だったらどうしよう?

声掛けづらくなっちゃうな....。



待てる間じゅう、心臓はバクバクしっぱなしで。

ため息をついたり、考えるポーズをしてみたり。

もしかしてお茶に誘われたらどうしよう?

あらぬ妄想は膨らみ『あはは、そんなことないよねぇ』独り言を言ったり。


完全不審者。


「「何だあの子?」」


怪しい目で見られてることに全然気づいてない私。



下校する生徒は、ほとんど黒髪だから金髪は目立つだろうし、見逃すことなんてあり得ない。

だから、まだここを通ってない。と思うんだけど。


....けど、遅いなぁ。

校門を通る生徒の数がだいぶ減って来た。

期待と不安でドキドキは一層早くなってくる。




「誰か待ってるの?」


暁月の生徒が声を掛けてくれた。

いかにも勉強できます、お坊ちゃんですみたいな人で。


「は、はい。えーと、3年生の獅倉くんなんですけど.....」

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