奪いとれっ!!
声を掛けてくれた生徒の表情が変わった。


「獅倉?!」


驚いた表情を隠さず、ジロジロと私を見る。



「君、あいつと知り合いなの?マジで?!ふーんそうなの......。
でも獅倉ならとっくに帰ったけど」


ガーン。


間に合わなかった?


うちの学校からここまで、どんなに急いでも30分以上はかかってるからその間に帰っちゃったの?

帰るの早くない?

頑張って来たのに....。


ついてない。


急に心がしぼむ。

あのドキドキは何だったの.....。

声掛けのパターンをいっぱい考えてたのに。

へこみようが半端ない。



「そうですか.....ありがとうございます」


うつむきながらお礼を言うと、肩を落としてトボトボと歩く姿がよっぽど情けなかったんだろう。


「あっ君、ちょと待ってよ」


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