奪いとれっ!!
だけど、私だって被害届は出せないよ....。

親に心配をかけるし、学校のみんなに噂が広がるのも嫌だし。

事実、事件の噂は.....相当広がっている。



***

────結局獅倉くんを見つけられず。

こんなことなら、ゆず子に連絡先聞いとけば良かった。

そのほうが確実だったよなぁ。

どうして私って、突っ走っちゃうんだろう?



落ち込む気持ちを抱えて、家に帰る途中コンビニの前を通りかかった時だった。


「はっ!」私の息と足が同時に止まった。


コンビニの袋を提げて、獅倉くんらしき人が出てきた!


暁月高校の制服に、派手な金髪、ピアスもしてる。


獅倉くんだっ!絶対間違いない!



心臓が高鳴る。


でも、本人を前にすると声を掛ける勇気が出なくって。


ど、ど、どうしよう....。

でもこのチャンスを逃したら二度と会えないかも知れない。



ためらいながらも、私は彼の後をつけている真っ最中。

途中で声をかけるチャンスがあれば、声をかけるつもり。



ドクン、ドクン心臓がダンスしてる。


私は無我夢中で彼の背中を追いかけていた。
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