奪いとれっ!!
────気づくと雨はやんでいるみたいだった。


外は静けさを取り戻している。


沈黙が続く部屋。


『関わらないほうがいい』って....。

もしかして間接的に”お前に興味ない”って言われたのかな?

だとしたら、これ以上ここにいる理由もなくなったわけで。



「あの私.....帰ります」


立ち上がると、『突然おしかけてすみませんでした』頭をちょこっと下げて玄関に向かう。




と、後ろから.....。


......!!


手首を掴まれ”ぐいっ”と引きもどされる。


?!


獅倉くん?



彼の瞳に私が写った。


「あんたかれ.....」


『かれ』?


獅倉くんは首を振った。




「....あ、あの?」



「.....ごめん、家まで送る」


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