奪いとれっ!!
獅倉くんは結局あれから黙ったまま。


細い道を抜けると、駅が見えてきた。


「あの、ここで平気です」


「家まで送る。またからまれたら面倒だし」


そうだけど...。


私を心配してくれるの?


だったらどうして『俺に関わるな』って言ったの?



もう一度だけ聞いてみた。


「そもそも関わる理由がないだろ」


結果は同じだった。


「俺はたまたまバイト帰りに襲われてるあんたを助けた。俺はあんたの事なんてすっかり忘れてたけど、あんたはお礼が言いたかった。
そして俺の後をつけてお礼を言った」


.....そうだけど、そんな言い方...。


「それで終わり。もう関わる理由なんてないだろ」


私は納得するしかなかった。
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