奪いとれっ!!
私は飲みかけのカップをテーブルに置いた。


「だって、たしか中学の時からずっと送迎してもらってたんでしょ?」


青蘭女学院は中等部も併設されていて、超お嬢さまのゆず子は中等部出身だった。


「うん、そうなんだけどねぇ。街も安全になったみたいだしぃ、瑠理ちゃんみたく色々寄り道したいな~って。それに、家と学校の往復じゃぁ彼氏もできないでしょぉ」


えっ?


どうしたの?急に積極的になっちゃって。



「ご両親は許してくれたの?」


「渋々だけどぉ、門限6時って約束でねぇ」


はー、さすが超お嬢様.....。


でも門限6時って今どき.....。


「ゆず子はぁ、もうかごの鳥は嫌なのっ!!」


”ドン”とテーブルをグーで叩いた!?

えっちょっと待って?

目の前の子はゆず子だよね?



この子、そんな子だった?

おっとりさんはどこへ行ったの?


驚きながらも、

「成長したね、ゆず子。でもそれって彼氏欲しさから?」

ニッコリと笑って見せる。


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