Life
「里菜ちゃん、電話の彼女は、うちの会社に坂井君という、悠太のお嫁さんのお兄さんがいるだろう?」
「はい。」
「彼の弟さんのお嫁さんだよ。まぁ、簡単に言えば、悠太の義理の妹さんだね。」
「え…あの…ayaさ…。」

和也が来て、

「父さん説明下手くそだね。里菜、彼女は、母さんがオレを身ごもった時に逃亡した先で仲良くなった恩人の娘さん。り〜な。」
「か、和也、やめてっ!?お義父様の前で恥ずかしいわ。」
「里菜のお腹にはかわいいベビーちゃんがいるんだ。パパが優しく撫でてあげないでどうする?」
「片方の手はお腹を撫でてるけど、もう片方の手は明らかに私の胸を揉んでるんだけど…。」
「たまには欲情させて?」
「毎日でしょ!赤ちゃんがわかってからというもの、胸を揉む事を覚えたんだから…変態。」
「妊婦は抱けないし…。」
「それくらい我慢して下さい。」
「里菜を求めなければカラダが疼く。里菜を知ってから、欲しくなる。」
「もう…ここではやめて?」

奈央が、

「お姉ちゃん、あそぼ?」

里菜につんつん触る。

「わかったわ、ろくでなし男なんて放っておいて、あそぼっか?」
「はぁい。」

絢美はその一連を聞いていて、

「楽しいご家族ですね。」

と言う。父は、

「あれは息子なりの気遣いです。家に受け入れようとする。お嫁さんは、いくら幼なじみで、私達が前から知ってたとはいえども実の娘ではいない。不安な部分もあるだろう。何も知らなかった彼女が、家の真実を知り、結婚して、有り難い事に、直ぐに子供を授かった。マリッジブルーが去ったら、次はマタニティブルーだ。ましては彼女の悪阻は、血をとにかく吐く悪阻で、救いは食欲は何とか保てていたこと。一日に50回前後くらい吐いていたら、おかしくなりそうになりますよ。安定してきたのでよかったけれど、彼女を優しく包み込めるのは息子しかいない。彼女もわかっていますよ。ああ言っていても幸せな顔しています。仲は良いですよ。」

絢美は笑う。

「旅館、バスの手配、諸々は私達でしておきます。ご希望、ご要望がございましたら、息子に申し付けて下さい。孫を見たいという名目で呼び出せますから。やはり孫はかわいいです。悠真は私を祖父だと認識してきているので抱っこを求められたりすると、かわいくて、
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