Life
悠太は、

「あいつ、彼女いないの?」
「私を散々幸薄くて結婚できない女とけなしたからよ。ふふふ。あ、悠君、弟にいい人いない?合コンでも開いてあげてよ。」
「あいつに?」
「お願い。」
「けなされたんでしょ?」
「そうよ。私が和也にプロポーズされたの知った時、手の平返したようにペコペコしてさ。失礼しちゃうわ。でもね、弟は弟なのよ。姉ちゃんは心配しちゃう。」
「わかりました。一人ではおもしろくないから、よっちゃんと、その妹2人くらい呼びましょうか。」
「よっちゃん?」
「義徳君か…。でもあの妹よんだら義人伯父さんひがまない?」
「義人さん…ってまさか…!?」

和也と悠太は声を合わせて、

「9人も子供を作った精力抜群なエロオヤジだよ。」

麻友美は呆れて、

「エロオヤジは余計だと思います…。」

悠太は和也に、

「そういやどういうきっかけで兄さんは里菜ちゃんを意識し始めたの?」
「酔って、泣いている女性を見ると、理性を失いそうになるよ。」

麻友美はぎくっ…。

「それに、里菜はいい人だとわかっていたから。最後まで平川家の真実をしらなかったのもあるね。目当てのものが違うのじゃないか?という女性ではないし。それに、心の中では、里菜には知って欲しくないと。里菜の優しいキモチが離れていくのではないかと。真実を知ったまわりの人々は、何かよそよそしくて、堅苦しいものだった。里菜だけは守りたかった。今思えば、それが恋だったのだろうと思う。」
「和也…。」
「本当によそよそしいんだよなぁ。恐縮して見られてさ。私だって普通の家庭で、むしろ、過酷な事を味わってる。残酷な母さんへの仕打ち、呪いの遺伝、隠し子と噂をたてられて、ましては両親が不倫関係だとかさ。失礼だよ。望んでいる今まで通りの事。それがなくなる切なさ。両親には感謝している。悠ちゃんも奈央も好きだ。ただ、それだけがせつない。」
「オレのせいで広めたのかなぁ…。」
「いえ、悠ちゃんがいたから、再会もあったり、呪いが解けた気分になれた。奈央も生まれたし、両親がやっと認知された。こうして旅行もできるし。連絡取れるようになったし。」
「本当に?」
「疑う気ですか?」
「信じてるけどさ。」

兄はホロリと、

「へへ、嬉しいなぁ。」
「キモチ悪っ…。」
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