もう一度だけでも逢えるなら
 天気の良い休日は、二人きりでお出かけする。もちろん、まなちゃんを連れて。

 水樹は喜んで私の買い物に付き合ってくれる。私に似合いそうな服を選んでくれる。

 一緒に床に寝転がって、テレビを見る。時には、じゃれ合いながら。

 相変わらず水樹は敬語だけど。紗優と呼び捨てにしてくれないけど。手も握れないけど。キスもできないけど。それでも私は幸せ。

 すっかり私に心を許してくれたのか、水樹の私に対する姿勢は、次第に柔軟になっていった。

 幸せな日々は続き、季節は秋から冬へ。



 寒空の下、原っぱに座って、美しい星空を眺める。

 言うまでもなく、水樹と一緒に暮らし始めてから、空を見上げる時間が増えた。

 生まれて初めて流れ星を見た。水色の流れ星だった。

 夜風が冷たいけど、寒くはない。

 水樹の優しい温もりが、私の体を包み込んでくれるから。心を優しく温めてくれるから。
< 110 / 180 >

この作品をシェア

pagetop