もう一度だけでも逢えるなら
 みくさんがお風呂に入っている間に、水樹と二人だけで話した。

 やっぱり、水樹がホモだということはウソだった。

 わかってはいたけど、本人の口から聞いて安心した。

 水樹はウソをついたことを悔やんでいる。真面目な性格だから仕方ない。

 私もウソをついたけど、別に悔やんではいない。

 水樹がついたウソも、私がついたウソも、悪いウソではないと思う。

 みくさんのためについたウソだから。

 もし、みくさんが水樹のことを本気で好きになったら、切ない思いをするだけ。

 

 私は、奇跡が起こると信じている。

 そのために、お百度参りを続けている。

 けれど、現実は現実。



 切ない思いをするのは、私だけでいい。

 水樹もそのことは十分にわかっていると思う。
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