もう一度だけでも逢えるなら
「ねえ、まなちゃん。お散歩に行こうか」

「にゃあ」

 まなちゃんが何て言ったのかはわからないけど、独自の判断で、お散歩に行くことに決定。



 朝ご飯をしっかり食べて、今日は珍しくお弁当を作ってみた。

 玉子焼きと明太パスタだけのシンプルなお弁当。まなちゃんはいつものキャットフード。

 途中でコンビニに寄って、冷たいドリンクと牛乳とアイスクリームを買おうと思う。
 
 私は胸が小さいし、色気もないので、一つだけ持っているデニムのショートパンツと半袖のカットソー。あまり服装を気にしない私にしてみれば、精一杯のオシャレ。

 メイクはファンデーションだけ。

 メガネは……幸運の赤メガネをチョイス。髪型も昨日と同じ。帽子は被らない。あの人が私だと気づくように。

 今日は欠席します。急に用事ができまして。

 のんびり会会長、明子おばさんにメールで連絡。

 副会長の私が欠席するのは、五年ぶりくらい。



「まなちゃん、そろそろお散歩に行こうか」

「にゃあ」

 もしかしたら、あの人は、土曜日も仕事かもしれない。駅の周辺にいるかもしれない。

 あの人に会えるように、昨日と同じ時間に出発。
< 15 / 180 >

この作品をシェア

pagetop