もう一度だけでも逢えるなら
 八時三分、家を出発。

 八時二十一分、原っぱに到着。



「ここにしようか」

「うん。ここにしよう」

 去年と同じ場所。

 まずは、レジャーシートを広げる。

 風に飛ばされないように、四つ角に大きな石ころを。

 えいや! えいや! えいや! 気合で挿して、パラソルをセット。

 日焼け止めクリームを塗って、ピクニックの準備完了。



 かなでは私の横に座った。

 まなちゃんは、私の膝の上。

 家族三人で、のんびり、のほほん、ピクニック♪



「あの雲何の形に見えるかゲームをしよう」

「しよう! しよう!」

「じゃあ、かなでからね」

「うん!」

「あの雲は?」

「ソフトクリーム」

「ソフトクリームかあ」

「うん。紗優お母さんは?」

「私も、ソフトクリーム」

「それじゃあ、ゲームにならないよう」

「じゃあ、マシュマロ」



 水樹。

 かなでは変わらず元気だよ。

 毎日毎日、頑張って活動しているよ。

 水樹より立派な天使になれると思うよ。

 私も変わらず元気だよ。

 まなちゃんも元気だよ。

 私のおばあちゃんと会ったかな。

 くーちゃんとも会ったかな。

 水樹が去った日から、おばあちゃんの夢は見なくなったんだ。

 みんな、元気でいるよね。
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