もう一度だけでも逢えるなら
 歩き疲れた様子のまなちゃんを抱っこして、駅の周辺をうろうろ。

 冷房が効いている本屋さんの中もうろうろ。

 何も買わないで、スーパーの中もうろうろ。

 何も借りないで、DVDレンタル店の中もうろうろ。ペットの入店はご遠慮ください。と店員さんに注意されてしまった。

 どこにもあの人はいない。

 やっぱり今日はお休みなのか。家にいるのか。どこか遠いところに行っているのか。あの人は、他の街で暮らしていて、昨日はたまたまこの街にやって来た。ということも考えられる。

 それでも私は諦めない。絶対に今日中にあの人を見つける。



 まなちゃんがだいぶぐったりしている。私も歩き疲れてしまったので、コンビニで休憩。

 あの人が来ないかな。バニラアイスクリームを食べながら、私は通りを行き交う人たちを見つめる。

 ぐったりしていたまなちゃんは、冷たい牛乳を飲んだことで、少し元気が出てきた様子。

 あまり無理はさせたくないので、少し早めにお昼ご飯。

「歩ける?」

「にゃあ」

「それじゃあ、公園に行こうか」

「にゃあ」

 早起きして作ったお弁当を食べるために、近所の公園に向かった。

 しずく第二公園は、さほど広くはないけど、木陰のベンチがある。水道もトイレもある。高台にある公園なので、いつも心地よい風が吹いている。お昼寝するには、もってこいの場所。
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