もう一度だけでも逢えるなら
 あれ

 あれれ

 あれれれれ

 水樹さんの腕を掴めない。

 あれ

 あれれ

 あれれれれ

 本当に掴めない。

 グー、パー。グー、パー。グー、パー。グー、パー。一人でジャンケンしているみたい。

 私の頭は、暑さにやられてしまったのだろうか。

 すごく不思議だったけど、気にしない気にしない。

「あなたは、面白い人ですね」
 水樹さんが笑った。とても素敵な笑顔。

 私は心の中でガッツポーズ。

「それでは、少しだけ、お邪魔させていただきます」

 どうやら私に心を開いてくれたよう。

 そりゃ、嬉しいのなんのって。

 すごく嬉しいけど、表情には出さないようにする。

 あえてクールを装う。
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