もう一度だけでも逢えるなら
 今日の夢は、ものすごくリアルだった。

 ハイビジョンテレビを観ているかのような、鮮明な映像。

 言葉の端々まで覚えている。

 場所は、私の部屋だった。

 私の夢に何度も出てきたパジャマ姿の女の子の名前は、くーちゃん。とても可愛らしい女の子。

 おばあちゃんは、くーちゃんを自分のひ孫のように可愛がっていた。



 ものすごくリアルな夢を見たからなのか、おばあちゃんといっぱい話したからなのか、幼少時代の記憶が蘇ってきた。私が五歳の頃の記憶。

 おばあちゃんは、二十代の後半頃、目の病気で光を失ってしまい、そらからずっと盲目。

 心の目で世界を見るようになり、天使の姿が見えるようになったと言っていた。

 私の家に遊びに来てくれたとき、可愛らしい天使が私の家で暮らしているんだよ。と言っていた。

 お父さんもお母さんも、おばあちゃんの話を信じていなかったような気がする。

 あの当時、私は何のことなのかわからなかった。

 おばあちゃんは、とっても優しい人だった。今でもすごく優しい。

 夢の中とはいえ、逢えた喜びで涙がいっぱい。
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