もう一度だけでも逢えるなら
 水樹との付き合い方をどうするか考えながら電車に乗り、おばあちゃんのお墓参りに向かった。

 お墓を綺麗に掃除して、お花をお供えして、お線香を焚いて、目を閉じて手を合わせた。

 おばあちゃん、くーちゃん。夢に出てきてくれて、ありがとう。心の中でお礼を言った。

 また夢に出てきてね。心の中でお願いした。

 おばあちゃんの声もくーちゃんの声も聞こえなかった。

 

 電車に乗って、地元の町に戻った。

 まだ十二時前だけど、しずく第二公園に向かった。

 水樹はいつものベンチに座っている。

 今日見た夢のことを細かく水樹に話した。

 水樹は、自らを天使だと名乗った。
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