もう一度だけでも逢えるなら
「おばあちゃん!」

「紗優! 遊びに来てくれたのかい?」

「うん。遊びに来たよ」

「そうかい。ありがとう」

「いつもと違う服装だね。どこかに行くの?」

「くーちゃんと一緒にハイキングに行くのさ」

「そうなんだ」

「おばあちゃん、そろそろお出かけの時間だよ」

「もう少し待ってておくれ」

「うん。わかった」

「くーちゃんが、お弁当を作ってくれたんだよ」

「へえ、くーちゃんは、お料理が出来るんだね」

「すごく上手だよ」

「まだ小さいのに、すごいね」

「うん。本当に良く出来た子だよ。話は変わるけども、水樹さんと一緒に暮らし始めたのかい?」

「そうだよ。どうして知ってるの?」

「さっき、紗優の様子を見に行ったからさ」

「そっか。今日はね、水樹と一緒に映画を観たんだ」

「そうかい。それが、紗優の決断なんだね」

「うん」

「紗優が自分で決めたことなら、私はもう口出ししないよ」

「うん」

「骨の髄まで愛しておやり」

「うん。もちろん、そうする」

「おばあちゃん、早く」

「くーちゃんが呼んでるよ」

「うん。それでは、ごきげんよう」

「思いっきり楽しんできてね」

「紗優お姉さん、またね」

「くーちゃん、またね」
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