もう一度だけでも逢えるなら
 午後も淡々と業務をこなして、五時前に今日の仕事を終わらせた。

 明日の準備をして、萌の仕事を手伝い、六時前に作業はすべて終了。

 休み明けは仕事量が多い。

 私と萌以外の人は、みんな残業の模様。

 今日は、定時では帰らない。朝の償いをするために、杉下さんの仕事を手伝う。

 ぱぱっと終わらせて、杉下さんと一緒に帰る。

 あわよくば、一緒に飲みに行く。

 まだ機嫌が悪そうな部長の前を通り、何気ない様相で、杉下さんのデスクへ。

「終わりそうですか?」

「今日も残業ですよ」

「手伝いましょうか」

「自分でやるからいいです」

 朝のことをまだ根に持っているのだろうか、あっさり断られてしまった。

 杉下さんは、私に見向きもしない。必死な形相で仕事をしている。

 やることなすことすべて空回り。

 一日一膳は難しい。

 ご飯二膳は簡単。食べればいいだけ。

 これで諦めず、また明日から頑張ろうと思う。
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