苦く 甘い香りのふところ


「君、名前は?」

「別に教えなくてもいいですよね」

「君、結構度胸あんだな、さすが、咲人の女だけあるわ」

「別にわたし、彼女じゃないです」

「へー、あいつは結構気に入ってるみたいだけどな」

「どうだっていいでしょ」

「あー、どうだっていいよそんなこと、今は君たちの話ししてんだから」

「もう、やめてください。私たち帰りたいんです」

たこが震えながら答えた

「あいつらが来るまで帰すわけにゃーいかねーんだよ、すまんな、お嬢ちゃんたち。これからもっと仲良くなれそうだよ、君とは、ねえ、あんちゃん」

「何でわたしの名前」

足元を見るとわたしの名前のあるマフラーが落ちていた。お姉ちゃんからもらった大切なマフラーが

「あんたたちみたいなのがいるから、お姉ちゃんは…」

わたしが発したことなんてたこにもだれにも聞こえてはいなかった
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