苦く 甘い香りのふところ
「あん、どうしよ、私たち帰れるのかな」
「弱音吐いちゃダメだよ、こうなったら」
ん?これ、案外いけそう
「たこ、体後ろ向けて」
「え、こう?」
「よしっ」
「え、あん、何してんの」
「これ、案外すぐ抜けるようになってるの。あの人たち、私たちがまさかこんなこと考えるなんて思わなかったんでしょ」
わたしは、手は縛られていたが、手のひらが自由だったので、タコの縄をすぐに外すことができた。
「あん、すごい、取れちゃったよ」
「たこ、わたしのも、取って」
たこは体が自由になり、ピンピンしている。わたしの方は、なぜか、体が言うことを聞かない。
「あん、どうした?」
「なんか、変な薬嗅がされたのか、体が言うこと聞かなくて」
「え、わたし何ともないよ」
「とりあえずあんた、先逃げて」
「馬鹿、そんなことできるわけないじゃん」
「いいから、はやくいって、警察でもなんでも呼んできて」
「わかった、すぐ呼んでくるから、あん、無茶しちゃダメだよ」