苦く 甘い香りのふところ
「あ、あの」

彼は、眠っていて、なかなか起きない。暴走族っていうのは寝ないものなのか?
手が痺れるように痛いと思って目を向けると!彼が強い力で私の手を握っている
いや、痛いよ笑

「あの〜、手が〜、…………………あの!!!」

「うわ、びびった、ったく、心臓に悪いだろーが」

「あ、ごめんなさい、手が痛かったから」
「あっ……わり」
「いえ、あの、本当にありがとうございました」
「あのさ、礼はいいから、敬語やめてくんねーかな」
「でも菅野さんは年上の方なので」
「それ、前も聞いた、しかも、さん付けはキモい」
「え、なんて呼べば…」
「なんでもいいよ別に」
なんでもいいって言っときながら、どうせ、文句つけるんだろう。
「えっと、咲人くん」
「さんよりキモいじゃねーか」
「…………咲人ちゃん」
「おい、喧嘩売ってんのかよ」
「はい、すいません」
「呼び捨てでいいよ、それに敬語は無しだ。琴美にも言っておけ」
「たこと仲良いんだね、」
「あー、あいつの姉貴とも仲良くしててな、元々は琴美の姉貴のダチが、俺の姉貴みたいなもんだからさ」
「広いね」
「まぁ、喧嘩でもしてたらそうなるだろう」
「さき、と?は、喧嘩しないよね」
「は?」
「好意では、喧嘩しないよね」
「おまえ、」
「私、わかるの。本当は咲人、なんか事情があって、族に入ってるんじゃないかなって」

「……」
「ねぇ、足洗うなら早いほうがいいと思うけど」

「……なや」
「え?」
「首突っ込むなや、おまえには関係ねえだろ」

「…………そんな」
「おまえ、姉貴がいんだよな?両親にも姉貴にも恵まれてるお前には俺の気持ちなんてわかんねーよ」
「……なんで、姉のこと」
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