苦く 甘い香りのふところ

1ヶ月後

結局1ヶ月っても進展ないまま。
わたしは警察署の前の掲示板の前に立っている少年を見つけた。
その少年は咲人の顔写真を見ていた。
「ぼく、このお兄さんのこと知ってるの?」
「うん、ぼく、このお兄ちゃんに助けてもらった」

「え?」
「このお兄ちゃん、何にもしてないのに、捕まっちゃったんでしょ?」

「え、このお兄ちゃん何にもしてないの?」
「うん、お店の人も、知ってるのに、別のお兄ちゃんたちが、警察の人になんか言ってたの」

「そのお兄ちゃんたちのこと覚えてるかな?」
「うん、覚えてるよ」
「ぼく、名前は?」
「照史(あきと)」
「あきとくんか、ありがとう、お姉ちゃん、このお兄ちゃんのこと助けたいの、だから、一緒に来て欲しいんだけどいいかな?」
「うん、ぼくもお兄ちゃんのこと助けたい」
「よし、じゃー、その、別のお兄ちゃんたちがどんな人だったか、探しに行こうか」

「んーん、探しに行かなくても、今日ここで会う約束してるの、」
「本当に?」
「うん、1人で来てって言われてるから、お姉ちゃんどこかに隠れてて」
「わかった。でも、見えるところに行くから、無茶なことしないでね」
「わかった」
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