君の心は百合の花
黄色い百合
side竹永 澪
朝クラスメイトが来る前の教室で私は一人考え事をしていた。
今は冬の真っ只中なので日が開けるのも遅い。
私が学校につくのは7:00位なので教室から日の出が見えることもある。
私が好きな時間。
…私って何なんだろうか。
私、竹永澪の概念はなんなのだろうか。
私はいつでも明るくなくてはいけない。
悲しみ、哀れみ、切なさ、憎悪、それらすべての感情を捨て去らなくては私は私でいられない。
誰の期待も裏切りたくない。
もう涙を流してはいけない。
明るくて天然なムードメーカーというレッテルを貼られた私は、明るく天然な自分を演じ続けなければ私として認識されない。
演じて演じて作り上げなければ。
理想の私を。
[演じる]…じゃあ何も演じていない本当の私は?自分を演じ、感情さえも作り上げてしまった私の本当はあったはずの負の感情はもう心の奥底にしまいこまれてしまっていた。
朝焼けで茜色に染まった教室で私は一人涙を流していた。
…私は何で泣いているのだろうか。
別に悲しい訳でも何処かが痛い訳でもないのに、ポロポロと私のほおを伝っていく温かい液体。
その液体が目から溢れて来る意味もわからないまま、私は教室を後にする。
自分の感情がわからない。
わかりたいのにわかれない。
自分を、自分の感情を演じ、作り上げすぎたせいか、本当の自分を見失ってしまっている。
足早に暗い電気の着いていない教室の前を通り過ぎ階段をのぼる。
タッタッタッと自分の足音の鳴り響く階段。この音ももう聞き納めか。と思うと少し残念な気もする。
階段を登り切り、目の前にあるドアを見つめる。
深く深呼吸をし、冷たく冷え切ったドアノブに手をかける。ガチャっと音がして
重い鉄製のドアが開いた。
冷たく引き締まった空気に、目の前に広がる、朝焼けの空。
そう。ここは屋上。
私は今日ここで命を捨て生きることを諦める。
本当は全部全部知っていた。
クラスメイトから陰口を言われていることも、先生たちから嫌われていることも。全部全部知っている。
感情をすべて作り上げ、自分を演じ続けた私。演じ続けるのはもう嫌だ。
一度生きるのを諦め、リセットする。
そう考えると、自殺するのも怖くなかった。
神様、私は今日限り、生きるのをやめさせてもらいます。
でも、もしももう一度だけ、[竹永澪]としての人生を歩めるとしたら、
次こそはハッピーエンドで終わらせてください。
手すりを掴み、身を乗り出す。
この高さから落ちたらまず生きてはいられないだろう。
手にぐっと力をいれフェンスに足をかける。途端に風が吹き上げる。
ぱっと手を離し、強めに地面を蹴る。
ゴオオォと風が吹き上げる。
私を置いてどんどんと上に上がって行く周りの景色を見、あぁ、本当に飛び降りたんだなぁと実感する。
私の周りの時間だけがゆっくりになっているような気がする。
ふと私の脳裏に黄色い百合の花の画像が浮かんで来る。確か黄色い百合の花言葉は偽り。ふふふ、私にぴったりじゃない
地面がそろそろ近いかな?
死ぬその一瞬を感じないように、
ぐっと目をつぶる。
途端に私の意識は途絶えた。
朝クラスメイトが来る前の教室で私は一人考え事をしていた。
今は冬の真っ只中なので日が開けるのも遅い。
私が学校につくのは7:00位なので教室から日の出が見えることもある。
私が好きな時間。
…私って何なんだろうか。
私、竹永澪の概念はなんなのだろうか。
私はいつでも明るくなくてはいけない。
悲しみ、哀れみ、切なさ、憎悪、それらすべての感情を捨て去らなくては私は私でいられない。
誰の期待も裏切りたくない。
もう涙を流してはいけない。
明るくて天然なムードメーカーというレッテルを貼られた私は、明るく天然な自分を演じ続けなければ私として認識されない。
演じて演じて作り上げなければ。
理想の私を。
[演じる]…じゃあ何も演じていない本当の私は?自分を演じ、感情さえも作り上げてしまった私の本当はあったはずの負の感情はもう心の奥底にしまいこまれてしまっていた。
朝焼けで茜色に染まった教室で私は一人涙を流していた。
…私は何で泣いているのだろうか。
別に悲しい訳でも何処かが痛い訳でもないのに、ポロポロと私のほおを伝っていく温かい液体。
その液体が目から溢れて来る意味もわからないまま、私は教室を後にする。
自分の感情がわからない。
わかりたいのにわかれない。
自分を、自分の感情を演じ、作り上げすぎたせいか、本当の自分を見失ってしまっている。
足早に暗い電気の着いていない教室の前を通り過ぎ階段をのぼる。
タッタッタッと自分の足音の鳴り響く階段。この音ももう聞き納めか。と思うと少し残念な気もする。
階段を登り切り、目の前にあるドアを見つめる。
深く深呼吸をし、冷たく冷え切ったドアノブに手をかける。ガチャっと音がして
重い鉄製のドアが開いた。
冷たく引き締まった空気に、目の前に広がる、朝焼けの空。
そう。ここは屋上。
私は今日ここで命を捨て生きることを諦める。
本当は全部全部知っていた。
クラスメイトから陰口を言われていることも、先生たちから嫌われていることも。全部全部知っている。
感情をすべて作り上げ、自分を演じ続けた私。演じ続けるのはもう嫌だ。
一度生きるのを諦め、リセットする。
そう考えると、自殺するのも怖くなかった。
神様、私は今日限り、生きるのをやめさせてもらいます。
でも、もしももう一度だけ、[竹永澪]としての人生を歩めるとしたら、
次こそはハッピーエンドで終わらせてください。
手すりを掴み、身を乗り出す。
この高さから落ちたらまず生きてはいられないだろう。
手にぐっと力をいれフェンスに足をかける。途端に風が吹き上げる。
ぱっと手を離し、強めに地面を蹴る。
ゴオオォと風が吹き上げる。
私を置いてどんどんと上に上がって行く周りの景色を見、あぁ、本当に飛び降りたんだなぁと実感する。
私の周りの時間だけがゆっくりになっているような気がする。
ふと私の脳裏に黄色い百合の花の画像が浮かんで来る。確か黄色い百合の花言葉は偽り。ふふふ、私にぴったりじゃない
地面がそろそろ近いかな?
死ぬその一瞬を感じないように、
ぐっと目をつぶる。
途端に私の意識は途絶えた。