ピエリスの旋律


「んー、ごめん本当に今は言えない」


さっきまで私で遊んで、飄々とした態度を取っていたはずの美亜が急に勢いをなくした。
しょぼんて効果音が付きそうな、らしくない表情を浮かべる。

なんか、訳あり?


「なら、無理には聞かないけどさ…」

「ありがとう、言えるようになったら絶対にすぐ言うから」

「うん、お願い」


そう言って美亜の頭を撫でてみると、「大好き」って目を潤ませながら告白されたので、「私もだよ」って返事をしておいた。

そうしてじゃれ合いはどんどんエスカレートしていって、フザケて抱き締め合った後、二人でお互いをくすぐって大笑いしたところで先生に怒られた。

先生に平謝りしながら辺りを見ると、クラスメイトのほとんどが私達に注目していて。
尾瀬くんもおかしそうにこっちを見て笑っていた。



***


ゆるっと、年が明けた。


本当に何にもない、家族だけでチキンとケーキを食べるクリスマスを過ごして、いつも通りの微妙な成績表を受け取ったら冬休みに入って。
講習なんかも取ってないので家で勉強してたらあっという間に時間が過ぎて、年が明けた。

その間はかなり寒い日が続いたので歌いに行くことはなく、たまに美亜と遊びに外に出るくらいだった。


今日は元日。
初詣くらいには行こうと思って家を出た。

家族と近所の神社に向かう。
とは言ってもそこそこ有名で大きな神社なので、たまにクラスメイトや中学の同級生に会ったりする。
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