ピエリスの旋律



分からないことばかりの中で、私は不完全燃焼で終わらないために、色々なことを模索した。



まず、勉強。

元々そんなに好きではないけれど、新しいことを覚えて、それで問題を解けた時の快感はたまらない。
今までは本当に、テストで平均点取れればいいか。まぁ最悪赤点でなければ、くらいの舐め腐った態度で授業を受けていた。

でもそれだと全く成長できないまま時間が過ぎると分かって、出来るとこまで、1回やるだけやってみようと思って実践してる。



歌の方は、新しいことを始めた。

今までたまに詞を書くことはあったけど、本当にたまーに。
でもいつそれが必要になるか、表に出せる場面が出てくるか分からないと思って。
短くても、色んなフレーズをメモに書き留めることにした。

そうすることで、また違う目線で色んなものを見れるようになった気がする。


路上ライブは、好きな時に行く方式をやめた。
今考えると何て甘ったれてるんだって話で、寒いから今日はやめとこ〜なんてもったいないなと気付いた。

次の日が休みっていうこともあって、毎週金曜日に行こう!って決めたけど、以前酔っ払いに絡まれたことを思い出したのでやっぱりやめて。
毎週木曜日に、尾瀬くんと2回目に会った場所で歌うことにした。
彼が、この辺りではほとんど同じ学校の生徒を見ないって言っていたのも、決め手となった。



私は色んなことを自分の中で整理して、本当に変わろう、これから本気で頑張っていこうと決意した。


毎週木曜日、あの場所にいますって書いたメモを左隣の机に投げ込んだ時は、かなり驚いた顔を尾瀬くんにされたけど。
私が真剣にグッと拳を握って見せると、ふふって笑ってから同じように拳を握ってくれた。

初めて外で会った時のように、その口は、「がんばって」って言葉を紡いでた。
そう優しく、私に笑い掛けてくれた。


尾瀬くんがくれたきっかけのおかげで、改めて進む決心がついたよ。

中途半端になんかさせない。
完全燃焼するまで突っ走ってやるんだから。



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