ピエリスの旋律
大きな黒い扉を開けた瞬間に爆音。
人の波が、楽しげに揺れている。
俯瞰で見て聴きたいと思っていたので、人の波には参加せず、入り口近くの壁に背中を預けた。
三人が、舞台の上でスポットライトを浴びている。
ギターボーカルの佐々木さんの声は、思っていたより甘くて、でも甘過ぎなくて澄んでて。
その低音は、心を掴んでじわじわ浸食してくるような不思議な感じがした。
ベースの丸谷さんは飛び跳ねながらも演奏をこなしていて、こっちが思わず飛びたくなるようなそんなパフォーマンスを見せてくれた。
意外だったのは、倉田さん。
彼も元気のあるポップな感じでいくんだと勝手に思い込んでいた私は、色気だだ漏れって様子の彼に度肝を抜いた。
観客を煽るような目に、時たま見せる妖しい笑み。そして、薄く開かれた口元にドキドキする。
なんか、エロい。
バンドの後方でドラムセットに囲まれているのに、とてつもない存在感をステージで放っている。
この三人、バランス悪いように見えるのに、どうしてこんなにもまとまっているんだろう。
色んな個性が集まって混ざって、一つの世界を作っていて。
そのまとまっていく過程に観客をも巻き込んで、すっと心地いいところに着地する。
誰かが進みたいって思えば、他の二人はそれに気付いて船の帆を広げる。
誰かが右を向きたいって思えば、他の二人はそれに気付いて舵を切る。
絶大な信頼感があってのまとまりと、このライブパフォーマンス。
いいなぁ、バンド。